看護師 過去問
第114回
問38 (午前 問38)

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問題

看護師試験 第114回 問38(午前 問38) (訂正依頼・報告はこちら)

高濃度の酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはどれか。
  • 無気肺(atelectasis)
  • 肺塞栓症(pulmonary embolism)
  • 間質性肺炎(interstitial pneumonia)
  • 慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は、

慢性閉塞性肺疾患<COPD>

(chronic obstructive pulmonary disease)」です。

 

CO2ナルコーシスとは、

肺胞の換気障害で、CO2が過剰に蓄積し、

意識障害や呼吸抑制など、

中枢神経系の症状が出現する病態のことです。

慢性閉塞性肺疾患<COPD>では、

慢性的な換気障害により、

常にCO2が高濃度の状態であり、

そこに高濃度の酸素を投与すると、

中枢神経症状が出現する危険性があります。

 

 

選択肢1. 無気肺(atelectasis)

誤った解答です。

無気肺(atelectasis)では、

肺が虚脱し低酸素状態となりますが、

CO2の排出低下は少なく、

CO2ナルコーシスの危険性は高くありません。

選択肢2. 肺塞栓症(pulmonary embolism)

誤った解答です。

肺塞栓症(pulmonary embolism)では、

肺の血管が閉塞し、低酸素状態となりますが、

CO2の排出能が低下することはまれであり、

CO2ナルコーシスの危険性は高くありません。

 

選択肢3. 間質性肺炎(interstitial pneumonia)

誤った解答です。

間質性肺炎(interstitial pneumonia)では、

肺の繊維化による拡散障害で、

低酸素状態となりますが、

CO2の排出能がの排出能低下は軽度であり、

CO2ナルコーシスの危険性は高くありません。

選択肢4. 慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)

正しい解答です。

呼吸の調整では、通常、

CO2の濃度上昇により呼吸中枢が刺激されますが、

慢性閉塞性肺疾患<COPD>では、

慢性的な高濃度のCO2に身体が慣れてしまい、

O2の濃度で呼吸中枢が刺激されるようになります。

ここに高濃度の酸素を投与すると、

O2が満たされ、低酸素が改善されたと脳が感知し、

呼吸の回数を減らしてしまいます。

呼吸が抑制されることで、

CO2がさらに蓄積し、意識障害などを引き起こします。

まとめ

高濃度の酸素吸入によって、

CO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのは、

慢性閉塞性肺疾患<COPD>

(chronic obstructive pulmonary disease)」です。

CO2ナルコーシスの初期症状は、頭痛や眠気であり、

普段と違う症状に注意をはらうことが、

早期発見につながります。

 

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02

CO2ナルコーシスとは、体内に二酸化炭素(CO2)が蓄積して、呼吸性アシドーシスとなり意識障害を引き起こす、高炭酸ガス血症のことを言います。

慢性呼吸不全でⅡ型呼吸不全の患者は、CO2が体外に排出されず蓄積するため、CO2ナルコーシスを起こしやすく、酸素投与を行うときは注意が必要です。

選択肢1. 無気肺(atelectasis)

無気肺とは、肺の一部、または全体が虚脱した状態です。

治療として気道閉塞の原因となっている痰や異物の除去をしたり、深呼吸やスクイージング、体位ドレナージなどを行います。

無気肺では高濃度の酸素投与によって無気肺が悪化するリスクもあるので、酸素療法を行う場合は低濃度・低流量で投与することが大切です。

選択肢2. 肺塞栓症(pulmonary embolism)

肺塞栓は血栓などが肺動脈に詰まり、血流を遮断します。体内に十分な酸素が取り込めなくなり、血液中の酸素濃度が低下します。

体内の酸素濃度を安定させ、低酸素血症の状態を改善するために、酸素投与を行います。

選択肢3. 間質性肺炎(interstitial pneumonia)

間質性肺炎は肺の間質と呼ばれる部分に、繊維化や炎症が起き、肺が硬くなって縮んでしまった状態を言います。

肺の組織が線維化することから、肺線維症とも言います。

進行すると呼吸がしにくくなり、体内に酸素が不足する状態となるため、在宅酸素療法(HOT)が治療の中心となります。

選択肢4. 慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)

慢性閉塞性肺疾患は主にたばこの煙を吸入することで起こります。

有害物質の吸入により、気管支に炎症が起きたり、気管支が細くなることで空気の流れが低下します。

また、肺胞が破壊されて肺気腫になると酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。

このように、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、常にCO2が体内に貯留している状態で、この状態で高濃度の酸素投与を行うと、体内の酸素が過剰であると判断され、CO2ナルコーシスを引き起こしてしまいます。

 

まとめ

酸素投与を行うときは基礎疾患や既往歴を確認することが大切です。

CO2ナルコーシスを気にするあまり、必要な酸素投与が行われなければ、重度の低酸素血症や生命の危機につながるリスクがあります。

CO2ナルコーシスが発生するメカニズムを理解し、酸素療法を行うことが重要です。

 

 

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