看護師 過去問
第114回
問64 (午前 問64)
問題文
A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。A君に説明する必要があるのはどれか。
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問題
看護師試験 第114回 問64(午前 問64) (訂正依頼・報告はこちら)
A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。A君に説明する必要があるのはどれか。
- 手指衛生
- 床上安静
- 水分摂取の制限
- 蛋白質の摂取の制限
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この過去問の解説 (3件)
01
腎臓の糸球体は、本来蛋白質を通過させないフィルターの役割をしています。
しかしネフローゼ症候群では、このフィルターが障害されることで、血液中の蛋白質が尿中に大量に排出されてしまいます。
そのため血液中の蛋白質が減り、全身浮腫が出現します。
小児に多く見られるのは、原因のはっきりしない「特発性(一次性)ネフローゼ」で、治療の第一選択はステロイドの投与になります。
好発年齢は2~6歳で、男の子に多く見られます。(男女比2:1)
症状として、全身の浮腫のほかには尿量の減少、供水・腹水の貯留、腹部症状、易感染などがあります。
上記症状と検査でタンパク尿、血清アルブミン値の低下などが認められると、ネフローゼ症候群と診断されます。
○ステロイドの副作用で感染しやすい状況にあること、またネフローゼが緩解しても、感染が再発のきっかけになることもあるため、感染症予防は重要です。
うがいや手洗いの励行を説明しましょう。
✕基本的に運動制限は必要ありません。ただし、症状が強い時には運動を控えることもあります。
A君は尿量の増加、浮腫の軽減など、症状が改善してきているので、床上安静の必要はありません。
✕水分制限は、循環血液量を減少させ、脱水や血栓のリスクが増大するので、基本的には行いません。
A君は浮腫の軽減が確認してきているので、水分制限の説明をする必要はありません。
✕成人のネフローゼと異なり、小児では蛋白質の制限は行いません。
低栄養を避けるためにも、年齢に応じて必要な量の蛋白質を摂取します。
ネフローゼ症候群は小児と成人では、治療方法や生活指導の内容が異なりますので、間違えないようにしましょう。
またネフローゼ症候群の病態生理と、「全身浮腫」「低アルブミン血症」「大量のタンパク尿」の3大症状を覚えておきましょう。
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02
小児ネフローゼ症候群は、タンパク質が尿中に大量に漏れ出て血中のタンパク質が低下し、体がむくむ小児の慢性腎疾患です。主な原因は不明の「特発性ネフローゼ症候群」です。
⚪︎
ステロイドは免疫力を低下させるため、感染症にかかりやすくなり、重症化する可能性もあるので注意が必要です。ステロイド使用時の感染対策として、手洗い・うがい・マスク着用を徹底し、不必要な人混みを避けることが基本となります。
×
尿量が少なく、浮腫のある時期には安静を保つことにより尿量が増加し、浮腫も軽減すると考えられます。しかし、この時期を過ぎれば、安静を保つ必要はありません。
×
水分・塩分制限は、原則として浮腫や高血圧のある時期を除いて不要です。問題の例では浮腫も改善し血圧も正常値であることから水分摂取の制限は不要となります。
×
腎機能保護を目的とした蛋白制限は、小児では有効であるという証拠がなく、また蛋白は小児の成長に必要なため、通常蛋白制限はありません。
ステロイド薬によって約90%の人で蛋白尿が消失し寛解します。しかし、小児特発性ネフローゼ症候群は再発することが多いことも特徴の1つで、約70-80%の方が一度寛解しても再び蛋白尿が出現して再発し、寛解と再発を繰り返します。
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03
ネフローゼ症候群とは、腎臓の中にある糸球体基底膜の障害によって発生し、
高蛋白尿、低蛋白血症、浮腫、脂質異常症などの症状を呈する疾患の総称です。
急性期の治療は、ステロイドを中心とした薬物療法と、
塩分制限、安静になります。
ステロイド薬の使用により、
感染症のリスクが増加します。
そのため、手指衛生などの指導を行い、
感染症の発生を防ぐ必要があります。
よって、こちらが正解になります。
入院して7日が経過し、
尿量増加、浮腫の軽減、血圧の安定、尿蛋白の軽快といった状態から、
急性期は脱していると考えられます。
小児期であり、ストレスなどの面からも、
床上安静までの必要はないため、
こちらは該当しません。
入院後7日経過しており、浮腫は軽減し、尿量も確保できています。
この段階では、浮腫に対して水分制限は行わず、
塩分の制限を行います。
よって、こちらは該当しません。
尿蛋白が出ている場合、蛋白質の制限が行われることが多いですが、
小児の場合は、成長発達の段階でもあり、
尿からのたんぱく質喪失による低栄養を起こしやすいため、
蛋白質の制限の必要はありません。
よって、こちらは該当しません。
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