看護師 過去問
第114回
問70 (午前 問70)

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問題

看護師試験 第114回 問70(午前 問70) (訂正依頼・報告はこちら)

精神科病院入院患者の身体的拘束中に発生しやすい合併症はどれか。
  • 糖尿病(diabetes mellitus)
  • 足白癬(tinea pedis)
  • 悪性症候群(malignant syndrome)
  • 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism)

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この過去問の解説 (3件)

01

身体拘束とは、本人の行動の自由を制限する行為全般のことを言い、原則禁止されている行為です。

しかし、精神保健福祉法37条2項の基準により、

 ・自殺企図または自傷行為が著しく切迫している場合

 ・多動または不穏が顕著である場合

 ・そのほか精神障害のために、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶ恐れがある場合

他に代替方法がないことや、身体拘束が一時的であることを条件に、例外的に身体拘束が認められることがあります

身体拘束には、3つのロックがあります。

 ・拘束具を用いて患者の身体の動きを制限する「身体的拘束(フィジカルロック)」

 ・向精神薬等を過剰に投与し鎮静する「薬物による拘束(ドラッグロック)」

 ・言葉を用いて行動や発言を抑制する「言葉による拘束(スピーチロック)」

この問題では「身体的拘束(フィジカルロック)」について問われていますので、間違えないようにしましょう。

選択肢1. 糖尿病(diabetes mellitus)

身体的拘束の合併症として糖尿病が発症することはありません

糖尿病は自己免疫性の疾病、または遺伝子や生活習慣が発症や進行に大きくかかわる疾病です。

選択肢2. 足白癬(tinea pedis)

身体的拘束の合併症として足白癬が発症することはありません

白癬は真菌が皮膚に寄生して起こる感染症です。

選択肢3. 悪性症候群(malignant syndrome)

身体的拘束の合併症として悪性症候群が引き起こされることはありません

しかし、薬物による拘束の副作用として悪性症候群を引き起こすことがあります。

悪性症候群とは、主に抗精神薬が原因で起こる、発熱、意識障害、筋硬直を主症状とする重篤な状態を言います。

 

選択肢4. 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism)

身体的拘束の合併症には、肺血栓塞栓症があります。

これは拘束により長時間動かない(動けない)ことで、下肢の深部静脈に血栓ができ、それが肺動脈に詰まることで起こります。

 

まとめ

冒頭の解説にもあるように、身体拘束は原則禁止とされています。

「切迫性」「非代替性」「一時性」の三要件を満たすときのみに、医師の指示と多職種による検討、本人・家族への説明と同意があって、はじめて例外的に認められる行為です。

身体拘束は多くの弊害をもたらします。患者の権利と尊厳の保護のために、医療・介護分野での拘束ゼロに向けた取り組みが行われています。

身体拘束に関する基本的な考え方と原則、合併症などのほかに、拘束にまつわる社会的背景も知っておくことが必要です。

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02

看護における身体拘束とは、患者の安全確保や治療のために、道具や薬剤を用いて一時的に患者の身体の動きを制限することです。しかし、患者の人権を侵害し、身体的・精神的な弊害をもたらすため原則禁止されており、行う場合は「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件をすべて満たす緊急かつやむを得ない場合のみとされています。

選択肢1. 糖尿病(diabetes mellitus)

×

糖尿病は慢性疾患であり、身体拘束そのものによって急に発症することはありません。

選択肢2. 足白癬(tinea pedis)

×

足白癬は真菌感染であり、拘束自体が直接的な原因になることはほとんどありません。

選択肢3. 悪性症候群(malignant syndrome)

×

悪性症候群は抗精神病薬の副作用で発症します。身体拘束自体で直接発症するわけではありませんが、拘束中に抗精神病薬投与が多いとリスク増加することはあります。

選択肢4. 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism)

⚪︎

身体拘束により長時間の安静・運動制限が起こると、下肢の静脈血流が滞り、深部静脈血栓(DVT)が形成されやすくなります。

まとめ

看護現場で身体拘束を行う場合、看護師は毎日その必要性を評価し、身体拘束による障害がないか観察・記録することが義務付けられています。

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03

精神科病棟では、生命の保護や重大な身体損傷の防止のために、

やむを得ず身体拘束をしなければならないことがあります

対象は、自殺企図や自傷などが著しく切迫している状態の患者、

多動や不穏が顕著な患者、放置すると命の危険がある患者などになります。

 

選択肢1. 糖尿病(diabetes mellitus)

糖尿病は、身体拘束が原因で発症することはありません。

よって、こちらは該当しません。

選択肢2. 足白癬(tinea pedis)

足白癬は、身体拘束が原因で発症することはありません。

よって、こちらは該当しません。

選択肢3. 悪性症候群(malignant syndrome)

悪性症候群とは、抗精神病薬や抗パーキンソン薬の急な中止などによって起こる、

場合によっては致死的な副作用のことです。

症状は、

①高熱②筋硬直③自律神経症状④意識障害

です。

身体拘束が原因で発生するものではないため、

こちらは該当しません。

 

選択肢4. 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism)

肺血栓塞栓症とは、

下肢の深部静脈などにできた血栓が、

肺に流入して詰まることによって起こります

血栓が詰まった部位のガス交換が障害され、

呼吸困難・胸痛・心停止などを引き起こします。

身体拘束のように、長時間同じ姿勢を続けた後に、

急に動くことで発生します。

肺血栓塞栓症は、身体拘束の重大な合併症の一つです。

よって、こちらが正解です。

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