看護師 過去問
第114回
問73 (午前 問73)

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問題

看護師試験 第114回 問73(午前 問73) (訂正依頼・報告はこちら)

精神科病院での行動制限で正しいのはどれか。
  • 家族の同意により身体的拘束を決定する。
  • 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。
  • 12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。
  • 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。

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この過去問の解説 (3件)

01

精神保健福祉法第36条では以下のように定められています。

「精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療または保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる」

患者本人や他者の生命、身体に危害が及ぶことが予測される場合、あるいは病状の悪化や治療効果への悪影響を防ぐため、やむを得ず患者の行動を制限する全般の措置を指します。

行動制限が必要とされる場合は、精神保健福祉法に定められた手順に則り、可能な限りの最小化と倫理的配慮を行う必要があります。

 

選択肢1. 家族の同意により身体的拘束を決定する。

家族の同意があっても、医師の指示がなければ身体的拘束を行うことはできません。

 

選択肢2. 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。

行動制限最小化委員会の目的は、行動制限のモニタリング、必要性の検討、回診、スタッフへの教育を行い、行動制限を可能な限り最小化できるように働きかけることであり、行動制限の具体的な内容を決定するものではありません

選択肢3. 12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。

精神保健指定医は、職務上「法律に基づいて患者を強制入院させる」ことができる権限を持っています。

12時間を超えない場合は非指定医(一般の精神科医)の指示、判断でも行動制限は可能ですが、12時間を超える場合は、法律に基づき、精神保健指定医の診察、判断が必要となります。

選択肢4. 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。

暴力があることが予測されても、すぐに身体的拘束を行うことはできません

まずは、暴力に対する情報の共有をスタッフ間で行い、暴力のきっかけが何であるかを探ります

患者と接するときには必ず複数のスタッフで対応し、逃げ道を確保しておくなど、できる限り患者の行動を制限しない対応が求められます

まとめ

「行動制限が必要とされる場合は、患者の人権に配慮しつつ、病状に応じて最も制限の少ない方法で行う」ことが大原則です。

また、必ず医師の指示が必要であること、対応によっては「精神保健指定医」でなければできない行動制限があることを押さえておきましょう。

行動制限の種類や求められる対応を、人権擁護の観点とともに学習しておくことが必要です。

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02

精神科病院で行われる行動制限とは、

患者の安全や他者の安全を守るために、

一時的に自由な行動を制限することです。

主に、

①隔離制限

②身体拘束

③行動制限(通信、面会、外出、外泊、所持品など)

があります。

これらは、精神保健福祉法の第36条・37条などに、

最小限の制限にとどめること、医師の指示に基づき行うこと、

記録・報告を適切に残すことなどが、定められています。

選択肢1. 家族の同意により身体的拘束を決定する。

身体拘束は、医師の指示に基づいて行います。

家族の同意は必須ではありませんが、

家族への説明と理解を得ることは非常に重要です。

 

よって、こちらは該当しません。

選択肢2. 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。

「行動制限最小化委員会」とは、

身体拘束や隔離などの行動制限を、

最小限にするための委員会のことです。

行動制限の「本当に必要だったのか」「最小限で行われたか」を、

定期的に点検・改善することを目的とし、

全ての精神科病院に設置が義務付けられています

 

個々の患者の、隔離の具体的な内容を決める場ではありませんので、

こちらは該当しません。

選択肢3. 12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。

初回の実施時は、主治医など一般の医師の指示でも行うことは可能ですが、

12時間を超えて実施する場合は、

精神保健指定医の判断・指示が必要になります。

精神保健指定医とは、精神保健福祉法に基づき、

厚生労働大臣が指定する医師で、

精神科患者の入院・行動制限などに関する専門的な判断権限を持つ医師です。

 

よって、こちらが正解になります。

選択肢4. 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。

暴力行為があった場合は、医師の指示に基づき、

身体的拘束を行うことがあります。

その場合は、一時的で必要最小限でなければなりません。

記録の義務があり、12時間を超える場合は、

精神保健指定医の判断が必要になります。

「落ち着くまで・・・」といったあいまいな判断では行うことができません。

 

よって、こちらは該当しません。

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03

精神科病院の行動制限には、①通信・面会の制限 ②隔離 ③身体的拘束 ④任意入院患者の開放処遇の制限に分類されます。

選択肢1. 家族の同意により身体的拘束を決定する。

×

身体的拘束は医師の判断に基づいて行います。家族の同意は不要であり、またそれを根拠に拘束することはできません。

選択肢2. 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。

×

行動制限最小化委員会は、拘束・隔離の適正性や削減に向けた病院全体の取り組みを検討する場です。個々の患者の隔離や拘束の可否・内容を決める権限はありません。

選択肢3. 12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。

⚪︎

精神保健福祉法に基づき、隔離や身体拘束を12時間以上継続する場合には精神保健指定医の判断が必要です。

選択肢4. 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。

×

身体拘束は「必要最小限」「一時的」でなければなりません。「落ち着くまで」と漠然と長期間続けるのは不適切です。

まとめ

看護師として日々患者さんの立場にたち、本当に必要なのか、代替方法はないのかを常に考える必要があります。「患者さんにとって何が最善か」「尊厳のあるケアとは何か」を多職種間で検討し、行動制限最小化に努めていくことが大切です。

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