看護師 過去問
第114回
問95 (午前 問95)

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問題

看護師試験 第114回 問95(午前 問95) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症(cholelithiasis)と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院した。
看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。
Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆囊摘出術を受けている。手術中のAさんに最も生じやすいのはどれか。
  • 体温の上昇
  • 心拍出量の上昇
  • 腹腔内圧の低下
  • 動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>の上昇

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この過去問の解説 (2件)

01

胆石症で腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けたAさんの状況設定問題です。
「同じ手術を受けた妹が-」等、記載されている色々な文言に惑わされないようにしましょう。

この問題は気腹法や全身麻酔を行うときの全身状態の管理についての知識が問われているということに気づけると、スムーズに正解にたどり着けるでしょう。


 

選択肢1. 体温の上昇


全身麻酔下では体温調節機能の低下や末梢血管の拡張により、低体温が起こります。
また気腹法で注入する冷たい炭酸ガスや、冷たい洗浄液、輸液なども体温低下の要因となります。

 

 

選択肢2. 心拍出量の上昇


気腹法では、開始時に一時的に心拍出量が上昇しますが、その後は腹圧上昇による静脈還流の阻害され、心拍出量は徐々に低下します。
心拍出量の減少は腹腔内圧の上昇と比例して起こります

 

選択肢3. 腹腔内圧の低下


腹腔内に炭酸ガスを送り込むことで腹腔内圧は上昇します。

 

選択肢4. 動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>の上昇


気腹法と全身麻酔を同時に行うと、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇します。
これは全身麻酔により呼吸が抑制され、体内の炭酸ガスが十分に排出されなくなること、炭酸ガスの注入で術野を確保することで、横隔膜が押し上げられ、換気が十分に行えないこと注入された炭酸ガスが体内に吸収されることなど、複合的な作用で起こります。

 

まとめ

腹腔鏡では気腹法と言って炭酸ガスで腹腔内を膨らませて術野を確保します。
おなかをガスで膨らませると強い圧迫感や不快感が生じるため、意識のある状態では耐えられず全身麻酔の適応となります。

このふたつを把握したうえで、それぞれの注意点や作用、副作用について学習しておくとよいでしょう。

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02

正解は、「動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>の上昇」です。

 

全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆囊摘出術を受けている、

Aさんに最も生じやすいものを選択する問題です。

選択肢1. 体温の上昇

誤った解答です。

全身麻酔下では、麻酔薬による体温調整機能障害のため、

体温が低下します。

選択肢2. 心拍出量の上昇

誤った解答です。

気腹により腹腔内圧が上昇すると、

静脈灌流が妨げられ、心拍数は低下します。

選択肢3. 腹腔内圧の低下

誤った解答です。

腹腔内に二酸化炭素を充填するため、

腹腔内圧が上昇します。

選択肢4. 動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>の上昇

正しい解答です。

気腹では、二酸化炭素を使用するため、

血中に吸収されやすく、

動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>の上昇がみられることがあります。

まとめ

Aさんの手術中に最も起こりやすいのは

動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>の上昇」です。

手術中は麻酔科医による、換気量の調整が行われます。

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