看護師 過去問
第114回(2025年2月)
問99 (午前 問99)

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問題

看護師試験 第114回(2025年2月) 問99(午前 問99) (訂正依頼・報告はこちら)

<問97〜問99は同一の症例設定に基づきます。各問は前問までの状況を引き継いで解答してください。>

問97はこちら

 

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98%(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。
Aさんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院1か月後の外来で、Aさんに生活状況を聞くと、会話に対する反応は鈍く「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。家族は「最近物忘れが激しく、歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がAさんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。家族は「入院前と変わらない字で書けています」と言った。
Aさんに起こっている可能性が高いのはどれか。

  • 脳血管攣縮
  • 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
  • 脳動脈瘤の破裂(cerebral aneurysm)
  • Parkinson<パーキンソン>病(Parkinson disease)

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この過去問の解説 (2件)

01

引き続き頭痛と意識消失で救急搬送されたAさんの状況設定問題です。


このシナリオでは省略されていますが、「脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血でクリッピング術を受けている」ことを前提としていますので、問題を解くときに間違えないようにしましょう。

 

この設問で問われているのは「退院後のAさんに起こっていること」です。
Aさんは退院後1か月で、会話への反応低下、尿失禁、記憶力の低下、歩行障害などが出現していることを念頭に、合併症の症状や発生時期と照らし合わせて考えましょう。
 

選択肢1. 脳血管攣縮


脳血管攣縮(れんしゅく)とは、脳血管が異常に収縮して細くなり、脳血流が低下する状態を言います。
くも膜下出血で起こりやすい合併症ですが、時期として発症から数日~2週間程度の間に発生することが多いとされています。
症状は、頭痛、嘔気、片麻痺、失語、感覚障害、意識障害などで、遅れて脳梗塞を引き起こすことがあります。
Aさんに起こっている症状や時期が異なるので、脳血管攣縮ではないと考えられます。
 

選択肢2. 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)


脳脊髄液が脳室に溜まることで脳を圧迫し、脳室の拡大を認めますが髄液圧自体は正常範囲内である病気を正常圧水頭症と言います。
くも膜下出血、頭部外傷、髄膜炎などが原因で起こる続発性と、明らかな原因が特定できない特発性があります。
症状は歩行障害、認知障害、尿失禁が主な症状とされています。
Aさんに起こっている症状と合致しますので、正常圧水頭症を引き起こしていると考えられます。
 

選択肢3. 脳動脈瘤の破裂(cerebral aneurysm)


脳動脈瘤の破裂は手術中にクリップがずれたり、動脈瘤の再発、新たな動脈瘤の出現などによって起こります。
破裂したときは、発症時と同様に激しい頭痛や意識障害を引き起こします
Aさんの症状とは合致しないので、脳動脈瘤の破裂が起きているとは考えにくいですが、今後もリスクが残存するため定期的な検診は必要です。

 

選択肢4. Parkinson<パーキンソン>病(Parkinson disease)


脳血管の手術後にパーキンソン病に似た症状が出ることがありますが、これはパーキンソン病とは異なり「パーキンソン症候群」といいます。
まずはパーキンソン「病」と「症候群」が別物であることを知っておきましょう
クリッピング術後に出現するとすれば「パーキンソン症候群」ですので、この選択肢は明らかに除外されます。

 

パーキンソン病は中脳のドーパミン産生細胞が減少し、ドーパミンが不足することによって起こる進行性の神経変性疾患です。
主な症状は振戦、動作緩慢、筋強剛、姿勢保持障害を主とする運動症状です。
これと似た症状を起こすものの、原因がドーパミン産生細胞の減少ではないものが、パーキンソン症候群となります。

 

まとめ

くも膜下出血は国家試験にはよく出題される病態です。

 

原因、3大合併症(脳出血、脳血管攣縮、正常圧水頭症)とそれぞれが発症する時期、後遺症について学習しましょう。

また看護のポイントとして血圧管理も重要となります。

病態生理と合わせて血圧管理の必要性も理解しておくことが必要です。

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02

正解は、「正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)」です。

 

順調に回復し、後遺症なく退院し、

退院1ヶ月後に外来受診した、

Aさんに起こっている可能性が高いものを選択する問題です。

選択肢1. 脳血管攣縮

誤った解答です。

脳血管攣縮は、くも膜下出血後数日~2週間以内に起こることが多く、

片麻痺や失語、意識障害などの症状がみられます。

Aさんの症状の説明とは異なります。

選択肢2. 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)

正しい解答です。

くも膜下出血後に、髄液の吸収不全から正常圧水頭症を引き起こすことがあり、

歩行障害、認知障害、尿失禁が三大徴候です。

 

Aさんの現在の症状は、上記の三大徴候を示しています。

・家族からの情報:「歩くのが遅くなった」→歩行障害

・家族からの情報、看護師の観察:

 「最近物忘れが激しい」「会話に対する反応が鈍い」→認知障害

・本人の訴え:「この間、尿を漏らしてしまった」→尿失禁

選択肢3. 脳動脈瘤の破裂(cerebral aneurysm)

誤った解答です。

脳動脈の破裂は、突然発症し、意識障害を伴います。

現在のAさんの症状とは異なっています。

選択肢4. Parkinson<パーキンソン>病(Parkinson disease)

誤った解答です。

Parkinson<パーキンソン>病は、

中脳黒質のドパミン神経細胞が壊れ、ドパミンが減少する進行性の神経変性疾患です。

安静時振戦、筋固縮、無動、小刻み歩行などの症状がみられます。

無動の一種で、小字症(意図せず字が小さくなる)という症状がありますが、

Aさんの場合は、入院前と変わらず、きれいな字が書けています。

また、認知障害や尿失禁は、パーキンソン病でもみられますが、

後期に出現する症状です。

まとめ

Aさんの「歩行障害・認知症・尿失禁」は、正常圧水頭症の三大徴候と一致しており、

Aさんに起こっている可能性が高いものは、

正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus) です。

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