看護師 過去問
第114回
問212 (午後 問92)

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問題

看護師試験 第114回 問212(午後 問92) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(88歳、男性)は妻(82歳)と2人で暮らしている。息子2人は独立して生活している。要介護度は5で、エアマットレスを使用している。食事は妻の介助で1日1回ペースト食を食べているがむせることもあり、食事が全くとれない日もある。排泄はオムツを使用し、毎日訪問介護サービスを利用して、オムツ交換と陰部洗浄を受けている。訪問看護は週3回利用している。Aさんは妻が話しかけると返事はするが自発的な会話はない。着替えをするときに上肢を動かすと苦痛表情がある。
2ヶ月後、Aさんは食事を口から食べることができなくなり、かかりつけの医師から家族へ、そろそろ看取りの時期であり、看取りの場所を決めるように説明があった。息子たちから「父が長年住んだ家で最期まで過ごさせてあげたいと母とも話していますが、母が1人でみるのは大変だと思い心配しています」と訪問看護師に話があった。
このときの訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
  • 看取りまでの支援体制を説明する。
  • 血圧が低下したら入院が必要なことを説明する。
  • 決定した看取りの場所は変更できないことを伝える。
  • かかりつけの医師と訪問看護師で治療方法を決定する。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は、「看取りまでの支援体制を説明する。」です。

 

看取りの時期に入ったAさんの看取りの場所を決める場面で、

家族は、Aさんの意志を尊重したい思いと、在宅看取りに対する不安で、

気持ちが揺れている状況です。

この場面での訪問看護師の役割は、

在宅看取りを実現するための支援体制を情報提供し、

家族の不安を少しでも軽減することです。

選択肢1. 看取りまでの支援体制を説明する。

正しい解答です。

訪問看護師は、看取りまでの具体的な支援体制を説明し、

家族が安心して意思決定に臨めるよう支援します。

選択肢2. 血圧が低下したら入院が必要なことを説明する。

誤った解答です。

Aさん自身や家族が、入院を希望しておらず、

在宅で自然な最期を迎えることを望んでいる状況です。

血圧が低下しても入院は必要ありません。

選択肢3. 決定した看取りの場所は変更できないことを伝える。

誤った解答です。

一度意思決定を行っても、Aさん自身や家族の気持ちは常に揺れます。

看取りの場所は、いつでも変更でき、

その都度、多職種で話し合いを行い、意思決定を深めていきます。

選択肢4. かかりつけの医師と訪問看護師で治療方法を決定する。

誤った解答です。

治療方針などの意思決定は、

Aさん自身とその家族の意向が最も尊重されるべきです。

医師や訪問看護師が決定するものではありません。

まとめ

このときの訪問看護師の対応で適切なのは、

看取りまでの支援体制を説明する。」です。

Aさんや家族の意向を尊重しながら、

在宅看取りに向けて、家族の介護負担軽減のため、

多職種で支援を行います。

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02

結論:看取りまでの支援体制を説明する
訪問看護師がまず行うべきことは、在宅で最期を迎える場合にどのようなサービス・人員・連絡体制が整えられるかを家族に具体的に示し、安心材料を増やすことです。

これにより「母ひとりでは大変かもしれない」という不安を和らげつつ、在宅看取りの可否を家族と一緒に検討できます。

選択肢1. 看取りまでの支援体制を説明する。

訪問看護の24時間連絡体制や訪問回数の増加、訪問診療・訪問介護との連携、夜間緊急時の対応方法などを示すことで、家族は在宅看取りの具体的なイメージを持てます。

家族の希望を尊重しながら支援内容を一緒に組み立てる姿勢が大切です。

選択肢2. 血圧が低下したら入院が必要なことを説明する。

看取り期は「治す医療」よりも「苦痛を和らげる医療」が優先されます。

血圧低下のみを理由に必ず入院するわけではないため、一律の説明は適切ではありません。

選択肢3. 決定した看取りの場所は変更できないことを伝える。

状況や家族の気持ちは変化します。

途中で場所を変更する選択肢を残しておくほうが現実的で、家族の安心にもつながります。

変更不可と断言するのは不適切です。

選択肢4. かかりつけの医師と訪問看護師で治療方法を決定する。

治療・ケアの方針は本人と家族の意思を最優先にし、医師・看護師はその意思決定を支援する立場です。

専門職だけで決めるのは守るべき手順ではありません。

まとめ

在宅看取りの可否を判断する際は、家族が安心してケアできる支援体制を示すことが最初の一歩です。

体制を具体的に示したうえで、入院・施設入所への変更の可否も含め、柔軟な選択肢を持てるように説明すると家族の不安を軽減できます。

 

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