看護師 過去問
第114回(2025年2月)
問217 (午後 問97)
問題文
Aさん(57歳、男性)は、芳香族アミンを扱う化学工場に39年勤務している。
現病歴:ここ数か月で次第に尿の色が濃くなった。いきまないと排尿できなくなり、泌尿器科を受診し、採血および尿検査を受けた。
既往歴:特記すべき点なし。
生活歴:喫煙40本/日を36年間、焼酎120mLの飲酒をほぼ毎日、20年間続けている。
身体所見:顔面、四肢に浮腫なし、黒色便なし、血便なし。
検査所見:赤血球308万/μL、Hb9.9g/dL、血清アルブミン4.2g/dL、血清総ビリルビン0.2mg/dL、血糖102mg/dL、ヘモグロビンA1c<HbA1c>5.4%。
Aさんの尿所見で予測されるのはどれか。
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問題
看護師試験 第114回(2025年2月) 問217(午後 問97) (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(57歳、男性)は、芳香族アミンを扱う化学工場に39年勤務している。
現病歴:ここ数か月で次第に尿の色が濃くなった。いきまないと排尿できなくなり、泌尿器科を受診し、採血および尿検査を受けた。
既往歴:特記すべき点なし。
生活歴:喫煙40本/日を36年間、焼酎120mLの飲酒をほぼ毎日、20年間続けている。
身体所見:顔面、四肢に浮腫なし、黒色便なし、血便なし。
検査所見:赤血球308万/μL、Hb9.9g/dL、血清アルブミン4.2g/dL、血清総ビリルビン0.2mg/dL、血糖102mg/dL、ヘモグロビンA1c<HbA1c>5.4%。
Aさんの尿所見で予測されるのはどれか。
- 蛋白尿
- 尿糖陽性
- 肉眼的血尿
- ビリルビン尿
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この過去問の解説 (3件)
01
Aさんは芳香族アミンを扱う化学工場に長年勤務しており、さらに大量喫煙の生活歴があります。
芳香族アミンと喫煙は膀胱がんの強い危険因子として知られており、長期曝露により膀胱がんの発症リスクが高まります。
Aさんは、ここ数か月で尿の色が濃くなり、排尿困難が出現していることや、検査所見では、貧血(Hb 9.9 g/dL)から、膀胱腫瘍による出血や尿路閉塞が疑われます。
✕
蛋白尿は、主に腎臓のろ過機能低下(糸球体障害)を示します。原因となる疾患には糖尿病性腎症、慢性腎炎(IgA腎症など)、ネフローゼ症候群があります。進行すると泡立ちの強い尿、むくみ(眼瞼・下肢)、身体のだるさ、褐色尿などが現れます。
Aさんには、浮腫や血清アルブミンの低下、糖尿病などの所見はなく、蛋白尿が確認される可能性は低いです。
✕
尿糖は、糖尿病や耐糖能異常でみられ、口渇、多飲、多尿、体重減少などを伴うことがあります。
Aさんの血糖値(102 mg/dL)とHbA1c(5.4%)は正常であり、糖尿病を示す所見はありません。したがって、尿糖が陽性となる可能性は低いです。
〇
肉眼的血尿は、膀胱がんの最も典型的な症状です。
Aさんは39年間の芳香族アミン曝露と大量喫煙歴があり、尿の色が濃くなっていること、さらに貧血(Hb 9.9 g/dL)も認めるため、尿所見として肉眼的血尿が予測されます。
✕
ビリルビン尿は、肝障害や胆道閉塞などで血中ビリルビンが増加した場合にみられ、黄疸、褐色尿、倦怠感などを伴うことがあります。
Aさんの血清総ビリルビン値は0.2 mg/dLと正常であり、肝機能障害や胆道閉塞を示す所見もありません。したがって、ビリルビン尿がみられる可能性は低いです。
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02
正解は、「肉眼的血尿」です。
Aさんは、芳香族アミンを扱う化学工場に39年勤務しています。
一部の芳香族アミンは、発がん性が指摘されており、
膀胱がんの危険因子です。
排尿困難も訴えていることから、
膀胱がんによる肉眼的血尿の尿所見が予測されます。
誤った解答です。
蛋白尿は、糸球体腎炎やネフローゼ症候群などの腎疾患でみられる尿所見ですが、
Aさんの検査所見には、蛋白尿を疑う記載がありません。
誤った解答です。
Aさんの血液所見では、
血糖102mg/dL、ヘモグロビンA1c<HbA1c>5.4%と正常範囲内で、
糖尿病を疑う所見はなく、尿糖陽性は考えられません。
正しい解答です。
膀胱がんでは、症状を伴わない肉眼的血尿や、
腫瘍による尿道の圧迫などで排尿困難・尿閉などの症状がみられます。
誤った解答です。
Aさんの血液所見では、血清総ビリルビン0.2mg/dLと正常範囲内であり、
ビリルビン尿の所見は考えにくいです。
Aさんの尿所見で予測されるのは、「肉眼的血尿」です。
膀胱がんにおいては、
肉眼的血尿が最も多い症状です。
Aさんの情報のなかには、
職業的に発がん性物質に長期間暴露していることや、
尿の色が急に濃くなり、排尿困難も伴っているということなど、
膀胱がんを疑う所見が多くあります。
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03
結論:肉眼的血尿 がみられる可能性が高い
芳香族アミンを長期間扱った人は膀胱がんのリスクが高まります。
膀胱がんの代表的な症状は、痛みを伴わない 赤い尿(肉眼的血尿) と排尿困難です。
Aさんは「数か月で尿が濃くなり、いきまないと排尿できない」と訴えており、この経過は腫瘍による出血や尿道閉塞を示唆します。
腎臓の糸球体障害でみられます。
Aさんには腎障害を示す浮腫や高血圧、血清アルブミン低下がなく、可能性は低いです。
糖尿病でみられますが、血糖102 mg/dL、HbA1c5.4 %と正常域のため考えにくいです。
膀胱がんや尿路結石で典型的に出現します。
芳香族アミン曝露歴・排尿困難・尿色の変化という条件から最も整合性が高い所見です。
肝機能障害や胆道閉塞で出ますが、血清ビリルビン0.2 mg/dLと正常なので否定的です。
芳香族アミン=膀胱がんの職業性リスク と覚えておくと、尿の変色や排尿障害を見たときにすぐ結び付けられます。
痛みを伴わない血尿は「がん」を強く疑うサインです。早期の泌尿器科受診と画像・内視鏡検査が必須になります。
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